画像解析技術と人工知能(AI)技術を活用して、スマートフォンで撮影した画像からイネの生育ステージを自動で診断するサービスについて、NTTデータが開始したと発表しました。
日本では農業の担い手が減少しつつあり、また高齢化による労働力不足が深刻な状況となっています。
そのため、生産規模を拡大したり生産性を向上することが国の課題となっていますが、実際の現場では依然として人出に頼る作業であったり熟練者でなければできない作業も多いのが現状です。
そこで、ロボット技術やAI、IoTといった先端技術を活用した「スマート農業」の実現によって生産性向上や労働力不足の解消をはかる取り組みの推進が、政府によって示されています。
NTTデータでは、これまでに蓄積してきたAIや画像解析の技術を活用して、農業の効率化、生産性向上を支援するソリューションを開発してきました。
そこで今回、2019年4月から2020年3月まで試行サービスとしてイネの「生育診断AI」と「病害虫・雑草診断AI」の提供を開始します。
生育診断AI
イネの生育ステージの診断にはこれまで、熟練者の経験に基づく判断が必要でした。生育ステージの適切な判断は、肥料を与える適切なタイミングを知ることにつながり、収量の増加や品質の向上につながります。
「生育診断AI」は、スマートフォンなどで撮影された画像からAIが生育ステージを自動で診断することが可能になるため、経験が浅くても追肥のタイミングを知ることができます。
これまでに、コシヒカリで実証実験を行ったところ高い精度での診断が可能であることが確認されています。また、今回の試行サービスによってほかの品種への適用についても実証を行うことになります。
病害虫・雑草診断AI
病害虫・雑草診断AIでは、スマートフォンなどで撮影された画像からAIが病害虫や雑草の同定を行います。
AIがこれらの種類を正確に同定することで、より効果が高くかつ適切な防除策を選定することが可能になります。
病害虫や雑草の種類を発生の初期段階で特定するには、これまでは熟練者の経験に基づく判断が必要でいた。今回のサービスを利用することで、経験の浅い者でも適切な対処を適切なタイミングで実施することができるようになります。
今回開始する試行サービスによって診断制度のさらなる向上を図り、そして本格サービスに向けてAIが学習するための教師画像データの蓄積を行うとのこと。
NTTデータは本格サービスの提供開始は2020年度以降を目指しています。