スポーツの審判はAIに置きかえたほうがよいと考えられている

株式会社ジャストシステムが運営するマーケティングリサーチ情報サイトで、人工知能と職業に関するアンケート結果が公開された。AIやロボットに置きかわって欲しくないスポーツ選手の第一位は「プロ野球選手」だったことに注目されたが、それよりも、より現実的であって将来的に重要になる結果もまた示されているようだ。




本当にAIやロボットに置きかわってほしいのは・・・

同社の情報サイト「Marketing Research Camp」において、ネットリサーチサービス「Fastask」を利用して実施された「人工知能(AI)& ロボット 月次定点調査(2017年11月度)」の結果が発表された。

調査は15歳から69歳の男女千人以上を対象に実施されており、118ページにも及ぶ調査結果レポートの全文は自主調査レポートページから無料でダウンロードできる。

同レポートでは、マーケティングの仕事が将来的にAIに置きかわると6割以上の人が答えていたり、約3割がAI音声アシスタントを週に1回以上利用しているなど、AIに関する興味深い結果が発表されている。

その中で、いくつかのスポーツに関連した職業でAIやロボットに置きかわってほしいかどうかの調査結果が注目されている。

人工知能やロボットと職業(Marketing Research Camp)

「AIやロボットに置きかわってほしくない」と回答した割合が最も多かったのは、「プロ野球選手」。サッカー選手や力士がつづくが、そもそもAIがスポーツ選手の代わりをつとめるメリットは、どう考えても思いつかない。

長年の努力で磨き上げた肉体や技術、メンタリティや戦略などを互いにぶつけ合い、競い合うところがスポーツの面白さ。ロボット同士が競い合うとなれば、それはまた別の次元の何かになってしまう。

そういった意味では、スポーツインストラクターやヨガインストラクターなどは、もしかすると将来的にはAIやロボットに置きかわる可能性はなきにしもあらず。生徒たちの抱えている課題を一瞬にして見極めて的確なアドバイスをセレクトして提案するなど、画像認識などを使えばかなりメリットがあるのかも知れない。

しかしながら、このグラフで最も注目すべきところは「置きかわってほしい」と回答された割合が際だって大きかった「審判」ではないだろうか。

全ての仕事が置きかわってほしいと回答されたのが11.8%で、一部の仕事で置きかわってほしいとされたのが36.9%。これらを合わせると、なんとほぼ半数の人がAIに代わってほしいと考えていることが明らかになった。

「誤審」問題をAIで解決する

確かに、最近のスポーツ関係のニュースや話題を振り返ってみると、以前と比べて審判による「誤審」の話題が多くなってきているように思われる。

今年5月に行われたボクシングWBA世界ミドル級タイトルマッチでは、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太が「不可解な判定」によって同級王者だったアッサン・エンダムに敗れ、ボクシング界を揺るがす大きな問題に発展した。

最近ではボクシング選手が受けたダメージを客観的に判断することができる、AIを活用した採点システムの開発などが進行している。

また、プロ野球界においても、打球の行方やベース上でのアウト/セーフの判定、そしてストライク/ボール判定などで毎日のように判定の正誤を巡る問題が起こっていた。

プロ野球で誤審の問題が大きく取り上げられるようになった最も大きな要因は、テレビカメラの性能がむかしと比べて大きく向上したことによる。

問題となるプレイの瞬間を捉えた、とても解像度のよいスローモーション映像がすぐにテレビなどで放映される。ときには審判よりも優位な角度から映し出された映像を一般の視聴者が確認できることから、明らかな誤審であればすぐに問題にされる。

最近では決定的瞬間の動画や画像がツイッターで公開されることもよくあり(著作権保護の観点では問題がある可能性はあるが)、とくに不利な判定を下されたチームのファンらを中心に盛り上がる。

野球の試合の場合はどちらかと言うと、それほど高度なAIを使うことなく機械的に客観的な判定を行うことが可能かも知れない。

それよりも、先に述べたボクシングの判定や、サッカーの試合でのファウルの判定、あるいはフィギュアスケートの採点など、審判の主観によって判定結果に差が出やすく、より客観的な判断が必要となるところで、人工知能を活用したジャッジ方法の開発が、将来的には進むことが考えられるのではないだろうか。

少なくとも今回のアンケート結果からは、審判の仕事について部分的にはAIに置きかえたほうがよいと考えている人が約半数もいるということは、明らかになっている。

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