スマートスピーカーが話題になっている。Googleの「Google Home」、Amazonの「Echo」、LINEの「Clova WAVE」、Appleの「HomePod」など、大手のIT各社が続々と発売しており、今後もさまざまなタイプの機種が出てくるものと予想される。
ジャストシステムが先日発表した、男女1100人(15~69歳)を対象としたアンケート調査結果によると、すでにスマートスピーカーを購入しているのは4.5%。実際に所有している割合はまだ少なく、検討中の人も10.4%と少数派だ。
しかしながら、まだ検討までは至っていないものの興味をもっている人の割合まで足すと、なんと4割を超えてくる。特に10代に限ってみれば54%にものぼる。
一方で、スマートフォンなどで使うことができる「AI音声アシスタント」の利用状況についてはどうか。ほぼ毎日利用するヘビーユーザーは全体の7.3%に過ぎないものの、週に4から5回まで含めると14.3%。10代に限れば約3割にものぼる。
スマートスピーカーが対話型の音声操作に対応するAIアシスタントを搭載する機器であることを考えると、これから急速に浸透していくポテンシャルは十分にあると言ってもいいかも知れない。
このように、話しかければ音楽や動画を再生したり、家電の操作や検索エンジンを使った調べものをしてくれるなど、さまざまなことをしてくれる便利な機器であるスマートスピーカー。
これからますます身近なものになっていくだろう、と好意的な結論にしたいところだが、実はスマートスピーカーを使うにあたって、少々困った問題が生じているようだ。
日本人は音声入力を躊躇する
海外の発売からはじまったスマートスピーカー。言語の問題もクリアして、ようやく日本でも複数の機種が発売されるようになった。
昨年、米国で発表されたネット予測レポート「INTERNET TRENDS 2016」によると、2020年にはウェブ検索の半数は音声入力によるものになるという。それほどまでに、音声入力が一般的な行為になっていくとの予想だが、実は日本人にはハードルが高い傾向が見受けられる。
KDDIが10月に発表した調査結果によると、日本人の約7割が人前で音声検索をすることに抵抗を感じているという。特に30代女性が抵抗を感じており、8割以上が人前での音声検索を恥ずかしいと感じている。
ならば家の中だけで使うスマートスピーカーであれば問題はないのではないか。そう解釈することも可能だが、人前で恥ずかしいことは親兄弟の前でも恥ずかしい。いや、むしろ家族の前だからこそ恥ずかしいと感じることもあるかも知れない。
できないことはないが、ちょっと精神的に抵抗を感じる。それだけでも日常的に活用するインフラであれば致命的にもなりかねない。
そしてさらに追い打ちをかけるのが、いわゆる、「OK, Google」問題だ。
キミは「OK, Google」と呼びかけることができるか
スマートスピーカーを操作するためには基本的には音声しか使わない。そのため、機器を起動するためにはそれぞれに特徴的な「決めゼリフ」がある。
LINEのClovaであればそのまま「Clova」だが、Siriだと「Hey, Siri」、そしてGoogleアシスタントの場合は「OK, Google」だ。
日本人にとって、「OK, Google」はかなりハードルが高い。
想像してみよう。前から気になっていた女の子とようやく仲良くなって、ついに自分の部屋に招待することができた。まだまだ気安く話ができる仲というわけではない。静まりかえった部屋に蓄積しはじめた重たい空気を変えようと、音楽でもかけようと思う。
「オッケー、グーグル」
かなり気恥ずかしい。恥ずかしさのあまり、声が小さすぎて認識されない場合はさらに最悪だ。無理して大きな声を出して裏返ったらもう目も当てられない。
日本人用に、「OK, Google」のほかにも「ねぇ、Google」も可能なようだが、それにしたっていい大人の男が「ねぇ」もないものだ。
Google Homeはとても賢くできていて、スピーカーとしての機能のほか、ユーチューブの動画をかけたりニュースや最新の株価も調べることができる。天気や料理のほか、今日の一日の予定を尋ねることだって可能だ。
しかし、これらのとても便利な機能を使うためには、必ずしなければならないことがある。それが、「OK, Google」だ。
音声入力に関する調査結果によると、比較的若い世代のほうが抵抗感は少ないとのこと。キーボードを使った入力がもっぱらのPC世代と比べて、子どもの頃からスマートフォンに接している10代のほうが音声入力に違和感は感じていない。
海外と比べて音声入力が苦手な傾向が強い日本人であっても、もしかすると若い世代は積極的に活用して、スマートスピーカーを自分の手足のように使いこなしていくのかも知れない。
しかしそのためには、「OK, Google」をスマートに言うスキルを身につけることが、必要不可欠であることは間違いない。