世の中に存在する数あるニュースの中から「フェイクニュース」を人工知能を使って識別するためのプロジェクトが進められています。
プロジェクトは「Fake News Challenge」と名付けられ、世界各国から100人以上、71チームが参加しているとのこと。(偽ニュースを人工知能を使って検出するプロジェクト「Fake News Challenge」)
フェイクニュース(偽ニュース)とは、読者をあざむく意図をもって作られる「作り話」のことで、日本ではあまり問題になることは少ないですが、アメリカなどではけっこうな数のフェイクニュースが発信されているようです。
最近では、トランプ大統領を支持するか不支持かで米国が割れていますが、マスメディアの各社も両極端なスタンスを取っており、あからさまに批判する内容だったり、逆に好意的な記事を書くことも多いようです。
このあたりの感覚は、日本ではあまりなじみがない傾向なため、米国のメディアが伝える記事をそのまま受け取ると、事実とはかけ離れていることも意外とあるので気をつける必要があります。
実際、アメリカ大統領選が行われてからさまざまな偽のニュースがインターネット上に広まっているとして、問題となるニュースを流している200個近くにのおるサイトをGoogleが「追放した」とのこと。
米国のシンクタンク「Pew Research Center」が昨年12月に実施した調査によると、米国の成人の6割以上の人がフェイクニュースによって混乱が生まれていると回答しています。
そのような状況の中、世の中に日々流れている膨大な量のニュースの中から、効率よく偽のニュースを見つけ出すことが求められているというわけです。
しかし実際のところ、正確に偽ニュースを識別することは可能なのでしょうか。
人間の目によっても真実のニュースであるか偽であるかは判断が難しいところですが、Fake News Callengeプロジェクトを立ち上げたPomerleau氏とRao氏によれば、ニュースの内容が真実かどうかを確認するプロセスはAIによって自動化することができるそうです。
確認するプロセスはいくつかのステップに分けることができますが、その最初のステップについては、簡単に自動化できるとのこと。
その最初のステップとは、「ほかの報道機関がどのように報じているかを理解する」というステップで、「Stance Detection」と呼んでいます。
つまり、その他の大多数の報道機関が報じている内容と比べて、その記事だけ異なる内容を報じている場合には「フェイク」である可能性が高くなるといったアルゴリズムでしょうか。
「Fake News Challenge」では、各参加チームにトレーニングデータセットが渡されます。そのデータを使って機械学習をさせて、偽ニュースを判別できるAIシステムの構築を試みるプロジェクトです。
偽ニュースを見つけ出すAIの構築ができたら、今度はテスト用のデータセットを使って実際にニセモノを割り出し、その結果を提出します。
結果発表は6月15日となっていますので、本当に人工知能によって偽のニュースを識別することができるかどうか、どの程度の正確性があるのか、どのような結果になるのか期待して待つことにしましょう。