ボクシング試合でパンチの有効性をAIで分析、ダメージを可視化する技術を開発

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さまざまな産業分野で人工知能の活用が進んでいますが、この時代の流れはスポーツ界においても例外ではありません。ボクシングの試合において、試合結果を左右する採点にAIを活用した技術の開発が進んでいるようです。

判定が不可解だったWBA世界ミドル級タイトルマッチ

今年10月、ボクシングWBA世界ミドル級タイトルマッチが行われ、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太が同級王者のアッサン・エンダムを7回終了後にTKO勝ちで破りました。

しかし、実はこの対戦は今年5月に行われたタイトルマッチの再戦でした。5月の対戦では「不可解な判定」によってエンダムが勝利しましたが、その後に2人のジャッジが6カ月間の資格停止処分になるなど、ボクシング界を揺るがす大きな問題となっていました。

試合直後には、WBAのメンドサ会長が判定の誤りを認めるという異例の声明を出し、さらに再戦の指令も即座に出したことから、8月には再戦が発表されました。

結局、10月に行われた再戦で村田が見事KO勝ちをすることができたため、遺恨を残さない形で終わりましたが、5月の試合におけるジャッジは何とも不可解なものでした。

ボクシングの判定はどのように行うのか

ボクシング世界タイトルマッチは12ラウンドで行われます。すべてのラウンドが終了するまでにノックアウトがない場合、判定によって勝者を決定します。

そもそも、ボクシングの試合ではどのような点を判断して勝者を決めるのでしょうか。世界戦の採点では、おおむね4つの項目に基づいて採点がなされます。

ポイントになるのは、「有効なクリーンヒット」「有効な攻勢」「主導権を支配している」「防御」についてです。

しかし実際には、非常に経験の多いジャッジであっても判定が分かれるケースもよくあります。

たとえば、試合中の手数が多い方が、攻勢だったり主導権を支配しているようにも見えますが、実際には有効なパンチがまったくなく、ダメージを与えていないこともあります。

球技のように明らかに点数が入ったことが確認されるスポーツと違って、格闘技の場合は実際に有効な攻撃かどうかが本人たち以外にはよく分からないケースもあります。

では、より客観的に試合内容を採点して公平な判定を下すことは可能でしょうか。

スポーツデータ分析における最先端の技術が紹介される「スポーツアナリティクスジャパン2017」が今月、日本科学未来館で開催されました。

そこで、ボクシングの採点に人工知能を活用したシステムが提案されたとのことです。

赤外線カメラとAIを使った採点システム

ボクシングの試合では、実際に受けたパンチがどの程度、身体にダメージを与えたかが採点のポイントとなってきます。

紹介された分析実例は、2012年に米ラスベガスで実際に行われたパッキャオとブラッドリーの試合です。この試合では、判定でブラッドリーが僅差で勝利しましたが、その採点を巡ってはかなりもめたようです。

新たに開発したシステムでは、赤外線カメラと人工知能を使います。選手の身体を赤外線カメラで見てみると、パンチを受けた場所を可視化することができるといいます。

その理由は、打撃を受けた身体の部位は内出血をするなど、血流が悪くなるため、その部位は体温が下がるからです。

もし、ダメージの程度が画像として可視化できるのであれば、画像認識のノウハウが進んでいる人工知能の技術を活用すれば、容易に分析することができます。

この試合の様子を赤外線カメラとAIで分析したところ、ブラッドリーはパンチを受けてダメージが大きくなっていきましたが、一方でパッキャオはというと、試合終了するまでにほぼダメージがないことが明らかになりました。

この分析結果から判断すると、少なくとも有効なパンチがあったかどうか、防御ができていたかについては、実際の試合で下されたジャッジは誤りであったことになります。

この技術を応用した自動採点システムが将来、実際のボクシングの試合に導入されるようになるかはわかりませんが、客観的かつシステマチックな指標の一つとして、有効である可能性はあります。

SOURCE12
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