需要に合わせて植物を栽培できるAIを活用した技術を開発へ

人工知能(AI)を活用して、農業生産の高度化そして安定性を向上するための研究を、九州大学富士通が共同で開始すると発表しました。植物の成長速度などをリアルタイムで予測して、需要に合わせた植物栽培が可能になる仕組みを実現します。




農業生産の高度化と安定性向上に向けた課題

植物の安定的な供給と農業経営の収益の向上は、農業分野においては重要な課題となっています。そのため、需要に応じて農作物を柔軟に供給することが必要となりますが、天候や植物の生育状態などさまざまな影響を受けるためとても困難です。

また、これまでの植物栽培におけるノウハウは個々の農業従事者のスキルに依存する部分が大きいため、収穫の時期や量、そして品質においてもばらつきが生じることから、「定時」「定量」「定品質」「定価格」を意味するいわゆる「四定」の実現に向けた新たなシステムづくりが課題になっています。

AIによる環境制御の仕組みを実現

そこで九州大学と富士通では、同大のもつ生体計測技術で計測されたデータと「植物機構モデル」を富士通が開発するAIエンジンに組み込み、成長速度や収穫時期などをリアルタイムで予測できる新たなシステムを開発します。

研究のイメージ(富士通)

九州大の生体計測技術と富士通の画像処理技術を活用して、画像データから植物の成長を示す草丈、葉数、葉数、節間長、茎径などを自動計測。これによって、生育状況に関するデータの収集と可視化を行います。

それらのデータを使って、植物機構モデルに基づき光合成の速度や量を推定。富士通のAIエンジンを活用して成長速度や収穫時期を予測することができるようになります。

成長速度や収穫時期の予測ができたら、植物の品質や目標とする収穫時期に向けて最適な環境条件を割り出して生育状況に適した環境制御を行う仕組みを構築します。

研究結果は富士通の農事業グループ会社の生産現場で活用し、その効果を検証するとともに、農業向けのソリューションとしての提供を目指していくとしています。

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