SNSで人気が上がるハッシュタグを人工知能が教えてくれる

ツイッターやインスタグラムなどSNSでは、効果的なハッシュタグ(#)を付けるかどうかが人気の鍵になることも多いです。「ハッシュタグを制する者はSNSを制する」という声もあるほどです。しかし、どのようなハッシュタグを付ければよいか迷うことも多いです。そんなとき、AIが推薦してくれるタグを付けるのもありかも知れません。




東大の理工学系研究科の研究グループが、人工知能を活用して効果的なハッシュタグを考案する方法を開発しました。

このシステムが推薦するハッシュタグを使って画像や映像を投稿すれば、たくさんの「閲覧数」や「いいね」を獲得することができるという。

効果的なタグを付けて人気度を上げる

ツイッターやインスタグラム、あるいはフェイスブックなどのSNSでは、投稿されたコンテンツの内容を表すために「ハッシュタグ」を使うことができます。ユーザーは、ハッシュタグを使って検索して、興味や関心をもっているトピックの投稿を見つけています。

そのため、効果的なハッシュタグを付けることで、投稿したコンテンツをより多くの人に見てもらうというメリットがあります。

これまでにも、投稿内容に合致したハッシュタグを推薦する仕組みは提案されていて、たとえばオンラインショッピングで使われる「協調フィルタリング」という仕組みを応用したものがあります。

これは「この商品を人はこちらの商品も買っています」という推薦で使われる技術です。

これを応用すると、たとえばSNSに投稿したコンテンツに何らかのタグを付けたときに、そのタグと同時に使われることが多いタグを推薦することができます。

しかし、これだと関連するさまざまなタグを付けることができるものの、それらのタグによって人気度が上がるかどうかはわかりません。

一方で、今回開発されたAIによるタグ推薦は人気度が上がる確率を向上させることができるもので、「FolkPopularityRank」という計算手法が使われています。

FolkPopularityRankによってタグの「優劣」がわかる

FolkPopularityRankは、画像や映像に付けられたタグの「スコア」を計算します。

上の図では、フクロウの画像と「bird」「owl」「fly」というタグを示しています。画像やタグのサイズが、その投稿の人気度に対する寄与度の大きさを表します。

人気度の高い画像に付けられたタグは「重要」であるとして大きくなりますが、一方で、人気の低い画像にも付けられたり、または他の多くのタグと一緒に付けられたりすると重要度が下がるといった計算が繰り返し行われて、それぞれのタグの重要度がスコア化されます。

今回開発されたシステムでは、約6万枚もの画像とそれに付けられたタグについて学習することで、さまざまなタグがスコア化されました。

人が入力したタグと比べて人気度が2倍に

開発した手法の効果を試すため、約2000枚の画像に対して新システムが推薦したタグを追加し、実際にSNSに投稿して人気度がどうなったかが実験されています。

上のグラフは、投稿された画像に対する閲覧数の平均値を示しています。投稿後の閲覧数の推移がよくわかります。青で示された線は、人がタグを付けた投稿の閲覧数の推移を示しており、新システムによって推薦されたタグを付けた投稿は赤線です。

グラフからは、AIによって推薦されたタグを付けた投稿の閲覧数が、人間がタグ付けしたものと比べて2倍に増えていることがわかります。つまり、新システムによるタグを付けることで人気度が顕著に向上したことが示されたわけです。

AIによって推薦されたタグは、実際に画像と合致したタグだったのでしょうか。

これについては、実際にシステムによって推薦された25000ものタグがクラウド上で1500人による主観評価を得ており、人が付けたタグとほぼ同程度に正しいことも確認されています。

従来の方法だと、画像にマッチしたタグを推薦することはできるものの、投稿の人気度に貢献するタグを選ぶまでは考えられていませんでした。今回の方法では、人工知能による学習の技術を組み込むことで、閲覧数を増加させる可能性が高いタグを推薦することが可能になりました。

実際にどのような場面で活用できるのか

ある特定のタグを付けると人気が上がることが広まれば、同じタグが数多くのコンテンツに付けられてタグの重要度が低下することも考えられます。

しかし、新システムのスコア計算はわずか数秒ほどで完了することができるので、リアルタイムでその瞬間における優れたタグを推薦することが可能です。

では、ビジネスの現場ではどのようにこのシステムを活用できるのでしょうか。

例えば、SNS上で商品のプロモーションを行うことが近年は増加しています。もし効果的なタグ付けが自動でできるようになれば、より効果的なプロモーションを行うことができるでしょう。ほかにも各種のメディアが行うSNSでの広報活動で活用すれば、より多くの人の注目を集めることにつながることが期待されます。

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