明日の漁場・漁獲を人工知能で予測するシステムを研究開発へ

日本卸売市場株式会社とはこだて未来大学が共同で、人工知能を活用した漁場・漁獲の予測システムの研究開発を開始すると発表しました。漁業者や流通事業者の経営最適化につながることが期待されます。




近年は漁獲量の減少や魚価の低迷から経営の効率化が求められていますが、漁業では網を揚げるまでに漁獲がわからないため、出漁や仕入れ・販売を計画的に行うことは困難です。

そこで、人工知能を活用した「漁場予測システム」と「漁獲予測システム」の研究を開始しました。

漁場予測システムでは、これまでに蓄積された全国の水揚げデータをAIで分析することで、漁場を予測することができます。

漁獲予測システムは、IoT技術を活用して定置網用の魚群探知機からデータを取得して、AIによる分析で漁獲を予測します。

これらのAI搭載システムが実現すると、漁業者にとっては効率的な出漁計画を作成することが可能になります。

また、流通業者にとっても計画的な仕入れや販売を行うことが可能になり、利益率を向上させることができます。

さらに飲食店や量販店などに対しても、出漁や仕入れ情報を最大で24時間も早く提供することが可能になるというメリットがあります。

一方、漁場の予測が可能になると、小型クロマグロなど保護対象の魚種について漁獲を回避できることから、資源保護にもつながると期待されます。

共同研究は、水産卸業のもつノウハウを日本卸売り市場がまとめ、研究に必要な情報や物流システムをはこだて未来大学に提供します。

漁獲予測システムについては2018年3月に80%の精度を達成し、実用化を目指すとしています。

  • 地域産学官AI/IoT実証モデル委託事業:北海道科学技術総合新興センター(ノーステック財団)から委託された事業で、北海道大学大学院情報科学研究科、室蘭工業大学、日立製作所と共同で実施。2017年6月から18年3月までに人工知能やIoT技術を活用して漁場と漁獲を予測するシステムを研究する。魚牛舎と流通事業者の経営最適化を支援して北海道における水産業の振興に貢献する。
  • 日本卸売市場:いずみホールディングス(本社:北海道札幌市)傘下のプロマーケット。専門スタッフが産地に赴き、「船の上から魚の水揚げ」や「畑の中から野菜の収穫」を生中継する「産直Live」を行う。
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