IoT機器とAIを活用した「錦鯉の養殖」の見守りサービスを凸版印刷が開発しました。新潟県にある養鯉場での実証実験を実施すると発表しています。
錦鯉は近年、日本の伝統文化としてアジアや欧州などで人気が高まってきており、国内品評会においても非常に高値で取引されています。そのため、鯉の育成不良や死亡をできる限り抑えるために養殖状況の管理が重要です。
しかしながら、養殖業界でもまた高齢化が進んでいることから熟練労働者の利殖や労働人口の減少など、人手不足が課題となっています。
品質や生産量の安定化には定期的な人手による目視での管理が必要ですが、養殖に適した環境が山間部など遠隔地に点在していることから、作業負担を減らすための技術が求められています。
今回開発されたサービスでは、錦鯉の養殖を行う山間部の池付近にさまざまなセンサーやカメラを設置。水位や酸素量、給餌などといった養殖管理に必要なデータを取得して、遠隔から育成状況やトラブル予知の把握を実現します。
これらセンサーで取得されたデータを蓄積して、熟練生産者のノウハウやアナログな記録に頼っていた生産プロセスを可視化。AIを活用してさまざまな育成パターンを学習させることで、精度を高めて品質の安定化を図ります。
センサーで検知された情報は、クラウドやオンプレミス上に蓄積され、管理事務所など別の場所に設置されたPCやスマートフォンなどで確認することができます。
人手による定期的な目視管理を必要としないことから、作業負担を減らすことができ、さらに労働人口減少の課題にも対応できると期待されます。
データの通信には「ZETA」を活用しています。ZETAはLPWA(低消費電力広域)ネットワーク規格のひとつで、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を可能にします。
そのため、LTE電波が届かないエリアでも通信環境を延長できるため、山間部などの遠隔地に点在する養鯉場の管理も可能になりました。
今後は技術検証を進めて2019年秋からサービスを開始、2022年度にはおよそ10億円の売上をめざすとしています。