効率よくヒットを生む可能性もある、AIが小説を執筆するプロジェクトが進行している

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人工知能(AI)はクリエイティブな仕事が苦手だと言われていますが、実際のところどうなのでしょうか。電子出版ベンチャーのBooks&Companyは、AIが小説執筆するプロジェクトを進めています。最終的には商業出版まで目指しているという。

AIが人間の仕事を奪う可能性があるという予測に対して、AIができるのはルーチンワークのみで創造的な仕事は人間にしかできないといった議論がなされています。

小説の創作活動に特に必要なAI技術としては、自然言語処理が挙げられます。最近ではAIスピーカーやチャットボット、あるいは自動翻訳などで活用されています。これらに使われているAI技術を活用して、人間が書いたかのような物語を創作するのが今回の目的になっています。

AIに小説を執筆させようという試みはほかにもなされていますが、同社が進めているプロジェクトに特徴的なのは、実際に商業出版まで達成させようとしている点です。

では、実際にAIが小説を執筆するまでにはどのような「学習」が必要になるのでしょうか。

AI小説生成プロセス(Books&Company)

同社によると、AIが小説を生成するプロセスは2つのフェーズからなるとしています。第一のフェーズは小説の自然言語を理解することで、第二が実際に小説を執筆する自然言語の生成段階です。

このプロセスをより具体的に分解すると、①データ付与、②データ分析、③解釈、④物語の構築、⑤物語の詳細の生成、⑥文章生成、⑦物語の創作という7つの段階に分かれます。

現在までに第一フェーズが終了していることから、すでに③までを達成していることになります。

小説にはさまざまなジャンルがあり、また時代によって「売れる」ジャンルもまた変化していきます。

ヒットする小説を生み出すためには時代のニーズにマッチしたジャンルやパターンを考慮する必要がありますが、このようなパターン化や最適化はAIが最も得意とするところ。そのため、過去のベストセラーや名作を学習することでヒット作品を効率よく生み出すことができるとのこと。

同社によると、今回チャレンジするのは以下の3つのジャンルとしています。

① 夏目漱石や太宰治などの文豪、物故作家が残した作品の「その後」や「続編」
② 3億円事件やグリコ森永事件など、関心の高い事件をテーマにしたフィクション
③ 戦国時代や明治維新など、日本人に好んで読まれる歴史小説の新分野

これらの中から最も質が高く、そして商業出版を考えた上で最も意味のある作品から発表する予定だとしています。

これまでに第一フェーズが終了していますが、その中で村上春樹氏の短編小説「象の消滅」をAIに学習させた結果を検証しています。

象の消滅をAIがどの程度理解できているのかを評価するために59個の質問をしたところ、物語の解釈に関する「正解釈率」は88%、ファクトに関する「正答率」が84%と高い回答率が得られました。

特に、「象は何のメタファか?」という抽象的な質問に対しても、AIは「象は力によって収容されたかつての生活様式や敏感な関係性の象徴となります」と回答しています。

もしかすると、将来的にはAIが執筆した小説が本屋に並ぶ時代がやってくるのかも知れません。

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