人工知能を使って、サイバーインテリジェンスに関係する情報をダークウェブから収集して分析する手法を共同で研究開発すると、デトロイト トーマツ リスクサービスと情報セキュリティ大学院大学が発表しています。
ダークウェブとはいったいどのようなもので、サイバーインテリジェンスとは何なのか。
匿名性が高く犯罪者が集まるダークウェブ
そもそも、ダークウェブとはいったいどのようなものなのでしょうか。パソコンやスマートフォンなどで使う一般的なブラウザで見ることができるサイトは、「サーフェスウェブ」と呼ばれています。
これは通常で見ることができるウェブサイトはインターネット世界で言えばほんの表層でしかないことを意味しています。
そしてその下には、より深いディープウェブと呼ばれる世界が広がっており、そしてその最下層にはダークウェブが存在しています。
一般的なウェブサイトの場合、ブラウザにサイトのURLを打ち込めば簡単にアクセスすることができます。しかし、ダークウェブに存在するサイトは通常のやり方ではアクセスすることができません。専用のブラウザを使わなければ見ることができないサイトが集まっています。
また、ダークウェブにアクセスできるブラウザを用意したとしても、そこに存在するサイトに導いてくれる検索サービスなど存在しません。
そのため、ダークウェブにあるサイトを閲覧しようと思うのなら、そのサイトのURLをどこかで入手する必要があるというわけです。
また、ダークウェブのサイトへのアクセスは匿名化されているため、拳銃やドラッグ、コンピュータウイルスの売買など、あらゆる非合法な取引が行われています。
サイバーインテリジェンスにおける情報の取得
このような、非合法な闇取引が横行するインターネット空間では、犯罪に関係する情報が多く、サイバーセキュリティの対策に有用なデータもまた数多く存在するため、サイバーインテリジェンスのために使うことも可能です。
サイバーインテリジェンスとは、サイバー空間において実行される諜報活動のことです。
ダークウェブの空間に存在するあらゆる情報を取得して分析する諜報活動を行うことで、サイバーセキュリティの対策サービスに役立てることができます。
しかしながら、ダークウェブからは膨大な量の情報が得られる一方で、信頼性が低い情報も少なくなく、現在のところ専門のリサーチャーがデ作業で数ある情報の中から結うようなものを選別しています。
手作業による判別作業は非常に時間とコストがかかる上、精度や処理速度もばらつくなど、課題が多いのが現状です。
そこで、同社と情報セキュリティ大学院大学では、「人工知能を用いたダークウェブからのインテリジェンス抽出手法の研究」を共同で開始しました。
AIを使って有用な情報を抽出する
人工知能を活用してダークウェブから効率よく情報を抽出するためには、どのようにすればよいのでしょうか。
まずはじめに対象となる範囲を明確に限定して、ダークウェブから実験用のデータを収集します。
次に、その中から有用である情報を選別して教師データとして使い、膨大な量のデータから有用データを選択するモデルを構築します。
このようにして、信頼性の低いデータも含まれるダークウェブの情報から使えるデータを自動的に抽出する手法を開発します。
共同研究は来年3月まで。インテリジェンス業務における情報分析を効率化して、サイバーセキュリティに役立てることが今回の研究の目的です。