株式会社日立製作所は、これまで、建設・製造・保全などの現場業務の迅速化を目的として、メタバース技術の開発に取り組んできました。このたび、これまで開発を進めてきた技術を組み合わせ、産業分野での活用を想定した「現場拡張メタバース」を発表しました。
現場拡張メタバースは、現場の3Dモデルを仮想空間に再現し、現場関係者や設計者、品質保証者などの現場外関係者が、遠隔地からでも同じ空間を共有して情報共有や合意形成を図ることができる技術です。
日立は、日立GEニュークリア・エナジー株式会社および株式会社日立プラントコンストラクションと連携し、原子力発電所の実寸大模型の移設工事に現場拡張メタバースを適用しました。その結果、特殊なデジタル機器を使わずに、遠隔の部署同士での認識齟齬による手戻り頻度を減少し、他の作業の完了待ちを低減するといった業務効率の向上が確認されました。
技術の詳細
物理的な実態の制約によって、その場にいる作業員にしか把握できなかった現場を仮想空間上に拡張し、遠隔地にいる関係者にも直感的な形で現場を見える化する「現場拡張メタバース」を開発。
現場のデータを5W1Hの情報とともに迅速に収集する技術
作業着型センサやスマートフォンアプリなどを用いてデータ取得位置を特定し、位置情報をはじめとする5W1H情報を付与した形で、現場のヒトやモノに関する画像・映像・文書・音声・IoTデータなど多様な種類のデータを容易に効率的に収集する技術。
蓄積データ活用のためのAI技術
上記技術により蓄積される大量かつ多様なデータをAIで解析し、メタバース空間で、5W1Hの情報やデータの種類に関するキーワードなどを用いて所望のデータに迅速にアクセスする技術や、生成AIを用いて多様なデータの中から必要な情報を対話形式で抽出する技術。
ウェブブラウザベースの簡便かつ軽量なデータ可視化技術
専用ソフトウェアのインストールなどを必要とせず、ノートPCやスマートフォンなどからウェブブラウザを通して、簡単にメタバース空間やそこに蓄積された所望のデータを閲覧できる技術。
日立、現場データの収集技術や生成AIを活用した「現場拡張メタバース」を開発