人工知能の技術は今ではさまざまな産業分野で活用が進められています。その応用範囲は一般的なビジネス分野にとどまることはなく、「軍事用途」も例外ではありません。
ロボットやAIが人間の能力を超えるのではないかと危惧される、いわゆる「シンギュラリティ」に関する問題が叫ばれる中、これらの技術を兵器に応用するのを禁じるよう、国連に要請する動きが起こっています。
要請しているのは26カ国にも及ぶ世界各地のAIやロボット研究者ら116人で、その中にはテスラモーターズのイーロン・マスク氏や「アルファ碁」作ったディープマインドのスタファ・スレイマン氏も含まれます。
彼らによると、ロボットやAIの技術を兵器に転用することについて、「殺傷能力をもつ自律型兵器が一度開発されれば、かつてないほどの大規模かつ想像を絶するスピードでの戦闘が可能になる」と指摘しています。
また、これらの自律型兵器が「テロ兵器となったり、ハックされて望ましくない方法で行動する可能性」があるとしています。
「我々が行動できる時間はそれほど残されていない。このパンドラの箱が一度拓かれてしまったら、閉じるのは困難」だとも述べています。
彼らは、これら人工知能などを活用した兵器について、1983年に発効された「特定通常兵器使用禁止制限条約」が規制する対象とすべきだと主張しています。
特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)は、非人道的な効果をもつ特定の通常兵器の使用を禁止または制限する条約で、日本も締結しています。
これまでのプロセスでは、CCWには「検出不可能な破片により傷害を与える兵器」「地雷やブービートラップなど」「焼夷兵器」「失明をもたらすレーザー兵器」「爆発性戦争残存物」などが対象兵器として含まれています。
これらの兵器に加えて、ロボットやAIを利用した兵器も対象にすべきだと要請しているわけです。
要請文では、ロボットやAIを使った兵器は「第3の戦争革命」だとしています。ちなみに、第1と第2は「火薬」そして「核兵器」です。
国連は、ドローンや戦車、そして自動マシンガンを含む自律型兵器について正式に協議を開始することを決議しています。