一人ひとりの感情に応えるロボット用AIソフトを開発、自閉症児の在宅治療に

一人ひとりの感情に合わせて反応することができるロボット用のAIソフトを中部大学の研究グループが開発しました。市販のロボットを使ってセラピスト並みの性能を確認しており、自閉症の子どもたちの在宅治療での実用化を目指しています。




従来のソフトでは人の平均的な反応に合わせて応答するようなアルゴリズムが設計されていました。今回新たに開発されたソフトではディープラーニングを活用しており、平均的ではなく個々に異なる感情に対して応えることができます。

研究グループは、開発したソフトをソフトバンクロボティクスのヒト型コミュニケーションロボット「NAO」に組み込み、3歳から13歳の日本の自閉症児17人とセルビアの自閉症児18人で性能を評価しました。

NAO(ソフトバンクロボティクス)

ロボットの背後にビデオカメラを設置して、自閉症児の腕には心拍数や体温、皮膚伝導度を計測できるリストバンドを装着しました。

ロボットが喜びや怒り、悲しみ、驚きといった感情を示し、子どもの表情や声、手足の動き、心拍、体温、皮膚伝導度を記録します。

(中部大学)

これらの計測結果や性別、分化、診断情報を使って、ロボットに子どもの感情を予測させたところ、プロのセラピストの判断とおよそ60%で合致することが確認されました。

今後はさらに国内外の病院などの協力を受けて、アジアや米国、欧州で100人以上のデータを測定して、より正確に個々の子どもの感情を理解するソフトを開発します。

研究グループは、最終的な治療はあくまでもセラピストに任せるとしていますが、それまでを自閉症の子どもに寄り添えるロボット用ソフトの実用化を目指しています。

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