従来と比べて学習期間が短くてすむ「スマートに学習できるAI」を三菱電機が開発しました。産業用ロボットや車載機器などに活用することで、自ら学習して状況に応じた制御が可能になります。
これまでの人工知能を活用した技術では、自動で機器の制御を行うことは困難なために、人間の手によるティーチングが必要でした。
一方、最近では技術が進歩によって自動でティーチングを行う手法も開発されてきましたが、膨大な数の試行が必要なために多くの学習時間を要するといった課題がありました。
今回開発された「スマートに学習できるAI」では、独自の「深層強化アルゴリズム」によって試行数が約50分の1まで減らすことができるため、学習期間が大幅に短縮されました。
このAI技術を産業用ロボットや車載機器などのアプリケーションに搭載すると、カメラ画像や各センサー情報などに基づいて装置自らが環境を学習して微調整を行い、状況に応じた制御が可能になります。
さらに、独自技術の「コンパクトな人工知能」と組み合わせることで従来と比べて演算量が約100分の1に減るため、メモリ容量やCPUの処理速度が遅い機器などへの搭載も可能になりました。
これらの技術によって、従来だと機器制御の最適化を専門家のプログラミングあるいはティーチングによって行う場合は数時間から半日必要だったのに対し、わずか数分から30分程度にまで短縮するこができるとしています。
そのため、機器の制御にAI技術を導入するための期間や費用を抑えることができるため、「ものづくり現場」における生産性の向上につながると期待できます。
コンパクトな人工知能:推論処理の演算量を減らし、省メモリー化を実現することで人工知能をコンパクトにする技術。推論に用いるネットワーク構造や計算方法を効率化する、新たなアルゴリズムを開発した。推論精度を維持しながら演算量や使用メモリー量を90%削減。