防犯カメラなどの映像を使って水災時の浸水状況を把握するAI解析モデルを開発したと、応用地質株式会社が発表しました。
近年、日本では甚大な被害をもたらす自然災害が発生していますが、特に台風や豪雨などで引き起こされる水災や土砂災害は、今後もさらに増加していくと予想されています。
このような現状を踏まえ、業界の垣根を超えた技術の融合を目的として「防災コンソーシアムCORE」が発足しています。
その取り組みの一つとして、防災IoTセンサやSNSなどからリアルタイムに取得する情報に加えて、カメラ映像から災害の予兆や状況を捉えるAI解析技術を活用し、「リアルタイムハザードマップ」の開発が進められています。
今回開発されたAI解析モデルは、深層学習手法の一つである畳み込みニューラルネットワークを利用した画像解析技術を使用したもので、防犯カメラの映像から水面の位置を把握することで浸水深を解析するものです。
実証実験では、実験施設内に15mmから300mmの降雨を発生させて、プール内の浸水状況をセコムの防犯カメラで撮影してモニタリングしました。
撮影された映像から対象物を識別して、浸水深を解析するAI解析技術の解析はパスコが担当しました。
応用地質の防災IoTセンサで計測した実際の浸水深データとカメラ映像の解析値を比較しました。
解析の結果、開発したAI解析技術によって把握した浸水深と防災IoTセンサの計測値との誤差が数cm以内であったことから、発災の予兆や状況を捉える用途として十分に活用可能な技術だと確認できました。
今後は洪水ハザードマップをもとに浸水が懸念される地点に防犯カメラを設置して、フィールド検証を実施していくとしています。