ビルなどの建造物について、AI(人工知能)技術を活用して劣化した箇所を自動で診断するシステムを日立システムズが開発しました。ドローンを活用した管理サービスの一つとして提供開始します。
近年はさまざまな産業分野でドローンの利用が急速に拡大していますが、建設関連においても例外ではありません。
ビルや橋、プラントなど大きな構造物の劣化を点検する業務においては、高所や広範囲を効率よく監視することが可能となるドローンの活用が望まれています。
ドローンを活用した点検作業では、対象となる構造物の大量の画像を撮影して、その中に含まれるひび割れなどの劣化箇所を発見します。
しかし、撮影された劣化箇所の位置を特定や過去の劣化具合と比較して進行しているかどうかの確認、そして点検作業後のレポートの作成など、多大な時間を必要とすることから、正確かつ効率のよい仕組みづくりが課題となっていました。
そこで日立システムズは日立建設設計の建築物診断ノウハウとAI技術を組み合わせて、ドローンで撮影された画像データから劣化箇所を自動抽出する技術を開発しました。
今回開発されたシステムでは、ディープラーニングを活用した診断モデルと、ひび割れなどの劣化箇所の画像データベースを用いて診断。ドローンで撮影された大量の点検画像から劣化箇所が撮影された画像を自動抽出します。
これによって、従来は目視に頼っていた劣化箇所の判定を自動化するだけではなく、作業者によってばらつきがあった判定基準の標準化も実現されました。
抽出された劣化箇所は、大量の画像データから生成された構造物全体の3次元モデル上で管理することができるため、点検作業の結果報告書を自動生成することも可能です。
同社ではドローンの操縦や撮影代行、そして画像の診断やデータの保管などをワンステップで支援する「ドローン運用統合管理サービス」を提供。AI技術を活用した新サービスは2018年4月から提供を開始します。