尿をAIで解析して大腸がんを高精度で検出する

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尿に含まれる複数の代謝物の濃度パターンを人工知能(AI)で解析して、大腸がんの患者を高精度で検出する方法を東京医科大学や慶應義塾大学などの研究チームが開発しました。

より高精度かつ簡単な検査法の確立へ

大腸がんは一般的には予後がよいがんとされていますが、肝臓への転移など進行した状態でがんが発見されるケースもあります。

日本におけるがんの部位別死亡率の統計からは、男女ともに大腸がんは非常に高い傾向にあります。

多くの場合、大腸がんは大腸ポリープからなるといわれており、大腸ポリープの段階で発見された場合は内視鏡による切除で根治が可能で、早期がんであれば高確率で根治も可能です。そのため、より早い段階での発見と治療が極めて重要となってきます。

がんの発見については、現状では検診で便潜血を調べることが早期発見のための唯一の方法となっています。

血中の蛋白マーカーなどを使った測定法では一般の大腸がん発見のためのテストとしては精度に限界があるため、より感度や特異性が高く、簡便かつコストの安い測定方法の確立が求められています。

尿中物質を解析してがん患者を判別する方法

がんの発見を目的とした検査法としては、がん患者に特有の代謝物を調べる手法があります。

研究チームは、数百種類もの代謝物を一斉に測定する「メタボローム解析」を用いて、大腸がん患者や大腸ポリープ患者、そして健常者の尿を調べました。

液体クロマトグラフィーや質量分析装置を使って尿中に含まれる代謝物を測定したところ、がん患者では「ポリアミン類」の濃度が健常者やポリープ患者と比べて高いことがわかりました。

大腸がんの発症にはいくつかの遺伝子変異が関与していることが知られています。

これらの変異によって、オルニチンと呼ばれる代謝物からプトレシンという代謝物が合成される経路が活性化されます。

さらに、プトレシンはさまざまなポリアミン類に代謝され、とくに「N1,N12-diacetylspermine」と呼ばれる物質が尿中で高濃度になることは知られていました。

しかし、この物質による検査だけではがん患者を判別する精度としては不十分でした。

そこで今回、この物質のほかにも患者ごとに濃度パターンが異なる別のポリアミン類についても組み合わせて、AIにそのパターンを学習させて高精度にがん患者を識別する手法を開発しました。

AIを活用して便中の代謝物を解析

尿中代謝物と人工知能を用いた大腸がんの検出(東京医科大学)

尿の代謝物は、採取する時間の違いによって影響を受けて変動するため、研究では3日間にわたって朝、昼、夕方など複数の検体を採取して、そのばらつきを基礎データとしました。

また、ほかの両性疾患との区別がつかないなどの特異性の問題を解決するため、健常者だけではなくポリープ患者のデータも取得しました。

さらに、単一の分子マーカーだけでは感度や特異性が低くなるため、複数の分子を用い、高感度な分子の測定方法を活用しました。

これらのメタボローム解析のデータをAIに学習させて、高精度な予測モデルを構築しました。

今後はさらに大規模な症例データを使って精度を検証し、高精度かつ簡便な測定方法やシステム開発を進めて実用化を目指すとしています。

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